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ざんし
社長です。
編み屋さん、機織り屋さんだと必ずあるだろう「残糸」
ただ「残糸」と言っちゃうと
ほぼ無価値。
単なるロス。
処分するにもお金がかかる。 てな感じでマイナスなイメージ。
20年以上前にある得意先の人に試編みを頼まれた。
「ごめんやけど、その辺に転がってる残糸で試編みしてみてや」
若かったせいもあり、言い負かす経験も度胸もなく、グッと嫌な思いをかみ殺した。
要は、その人は自信も無いから、一切お金を払いたくなかったのだろう。
試編みをしてよければToa-Knitに仕事出してあげるから、タダでやっみてよ。
糸を自分で買ってでもやりたいという熱意もなく、恐らく小さなビジネス。 といったところだろう。
あのー いいですか? ちょっと いいですか? 糸は、その辺に転がってません。
賃加工が多かった当時も、自社で糸を買うことが殆どになった現在も、
ずっと、スタッフがキッチリと使い終わった糸を計量して、在庫に上げて管理し続けている。
むしろ、管理費、場所代がかかっているため在庫糸の価値は、一から染めるより上がっているんだ。とも思う。
じゃあなぜ、Toa-Knitでは使い終わった糸を4000色以上管理して残しているのか。
もちろん、もったいないからという理由もある。
けど実際は、見本や試作がタイムリーにできるメリットが大きい。
しかも、色は素材や番手が違えども共通にしているのでむやみに色数が増えない。
この綿はもともと、綿花だった。このウールはもともと、羊の毛だった。
そして、人が収穫し、紡ぎ、染付をしてToa-Knitに運んできた。
ここまで人の手も掛けられたのに、服やストールや帽子などにならずに焼却処分されるって胸が痛む。
今日もスタッフが計量して在庫データを更新してくれている。
だから、タイムリーに過不足も分かり安心して試作もできる。
ありがたいことです。
しかし、糸自体が生産終了したもの、次に一から作ると費用が掛かりすぎる物、二度と使う事は無い糸は
潔く、編みます。色など気にせず一緒くたに編んでウェス屋さんに買ってもらいます。
編むのに電気代や人件費がかかりますが、捨てるより心が傷まないのでOK。
直接的にECOというのとは違います。
物には必ず人の手がかかっていると、いつもよぎってしまうだけのことです。