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2011 / 10 / 26
00:00

師匠

社長です。

 

最近ふと、私に編み機の調整方法や、編み地の

特徴とかバランスなど色々なことを教えてくださった。

私の師匠のような方の事を思い出しました。

 

もともと編み機メーカーに勤めて居られて、縁あって

Toa-Knitで勤めて頂きました。今だと恐らく

80代後半ぐらいかな?

 

入社したての私は、編み現場にいる時、この人と

一緒にいることが多かったです。

私は、素人だったので、無理難題をこの人に相談

していました。

 

例えば、14ゲージのシングルの無地機の針床に

28ゲージの針を2本くっつけて入れて、生地を

編んだらどんなだろうとか、編み機の給糸口の

手前に、ベントを付けたガイドを設けて、ビヨン

ビヨンさせながら、編んだらどうなる?とか

 

すると、師匠は一からそれ用の冶具を作って

くれて実際に編んでくれました。結局、思った

ような生地ではなかったりして、フーンみたいな

こともしばしばでした。

 

師匠がよく言っていた言葉があります。

「あのな、何でもそうやけど、必死のパッチで

やって行かんかったら、すぐに他の奴に抜かされる

で。普通の事は皆やっとる訳やから、他の奴とは

別の事をやらんとアカン。所詮、編み機でできること

は、これっぽっちのことしか、できやせんのやから、

誰も思いもつかんことをやろうと思ったら、執念で

寝やんと、コンチキショーって言いもってやらんかったら

できやせん」

 

あーまたその話か・・と当時聞き流していましたが

この師匠がこれだけ何度も何度も同じことを

言っていたのは、本当にホントのことだったから

でしょう。

 

確かに、スペシャルな編み地やウルトラすごい

編み地なんて毎年毎年できるわけもなく、

でも、続けないとできないし、止めてしまえば

その開発は、そこまでだし。続けるには、

必死のパッチの執念で編み機と向き合わなければ

完成しないのだから。

 

今Toa-Knitで作っている生地を観て師匠は

褒めてくれるでしょうか?恐らく、仕上がって

ハンガーになっている生地より、編み機にかかって

いる生地の方が進化していれば褒めてくれるのでは

ないかと思います。

 

それにしても、今思うと、何もないところから

編みに必要な冶具を作ってしまっていた師匠。

当時はそれが当たり前みたいに思っていましたが

今思えば、すごすぎです。

 

今の私ではまだ、師匠の背中すら見えていません。

 

がんばります。

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